【ゾロアストロ完全解剖】5戦無着外のきさらぎ賞馬が皐月賞直行!「2400mもこなせる」芦毛の怪物を徹底分析
「拝火教の創始者(古代ペルシャ語)」を意味する名を持つゾロアストロは、父モーリス、母アルミレーナ(母父ディープインパクト、母母ナイトマジック=ドイツオークス馬)という欧州×日本の良血を持つ芦毛の牡馬だ。5戦すべてで3着以内を確保するという驚異的な安定感を誇り、2026年2月10日のきさらぎ賞(G3・京都)では雪による順延・右回り初挑戦という逆境の中、T.ハマーハンセン騎手とのコンビで重賞初制覇。次走は皐月賞(4月19日・中山)への直行が決定し、NF天栄で調整中だ。「ギアが入ると大きなストライドで走る」という唯一無二の個性が、クラシックの舞台でどう炸裂するかを完全解剖する。
「ゾロアストロ(Zoroastro)」は古代ペルシャの宗教・拝火教(ゾロアスター教)の創始者の名に由来する。炎を聖なるものとして崇める宗教の名の持ち主が「芦毛」という白さを持つのは対照的で面白い。近親にはヘルヴェティオス(障害)、アルミレーナの2024(妹・現役)がいる。掲示板登録数17,894人と、今シリーズ紹介馬の中でも高い注目度を維持している。
⚙️ この馬の最大の個性 ── 「ゆっくり入って、波に乗ると爆発する」
T.ハマーハンセン騎手:「追い出して、エンジンのかかりや、ギアの切り替わりはシャープではなかったですが、波に乗るととてもいい脚を使ってくれました。距離は延びても大丈夫だと思います。2400mもこなせると思います」
「前半はリズム重視で、という話はジョッキーとしていました。また、加速に時間がかかるので、踏み込みは気をつけてほしいとも話していました。勝負どころの反応は遅いのですが、ギアが入ってからの脚は大きなストライドでした。今回、馬にいい経験をさせたくてここを使いましたが、右回りを含めて、本当にいろいろな経験ができました。大きな自信となる一勝でした」
「ギアの入りが遅い」という特性は一見するとマイナス要素に見えるが、実際は違う。東スポ杯2歳Sで上がり32.7秒、未勝利で32.9秒という末脚数字は世代トップ水準だ。「じわじわと動き出し、波に乗った後の爆発力が圧倒的」というタイプの馬は、長い直線や大舞台での持続ラップで最も輝く。モーリス産駒にしばしば見られるこの「スロースターター型」の馬は、コーナーを上手く活用できるコース設定でその真価を発揮する。
📋 全戦績 ── 5戦全て掲示板確保、着外なしの驚異的安定感
| 日付 | 競馬場 | レース名 | 距離・馬場 | 着順 | 人気 | タイム | 上がり3F | 騎手 | 馬体重 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2025/6/7 | 東京 | 2歳新馬 | 芝1600m良 | 2着 | 1人気 | 1:35.0 | 34.2 | ルメール | 468kg | 出遅れ |
| 2025/7/27 | 新潟 | 2歳未勝利 | 芝1800m良 | 1着 | 1人気 | 1:47.4 | 32.9 | ルメール | 466kg(-2) | |
| 2025/10/11 | 東京 | サウジアラビアRC(G3) | 芝1600m小雨 | 3着 | 1人気 | 1:34.1 | 33.8 | ルメール | 470kg(+4) | 出遅れ |
| 2025/11/24 | 東京 | 東京スポーツ杯2歳S(G2) | 芝1800m良 | 2着 | 5人気 | 1:46.0 | 32.7 | マーカン | 468kg(-2) | |
| 2026/2/10 | 京都 | きさらぎ賞(G3) | 芝1800m良 | 1着 | 1人気 | 1:48.0 | 33.3 | T.ハマーハンセン | 468kg(0) | 右回り初 |
🔍 レース別分析 ── 5戦で見えた「出遅れ克服」と「距離延長の適性」
デビュー戦は1番人気に支持されながら出遅れというアクシデント。それでも上がり34.2秒を使って2着に滑り込んだ。出遅れという不利を跳ね返す「底力」と、この馬の出遅れ癖が初戦から顔を見せた。ルメール騎手が手綱を握り、高い能力の片鱗は感じさせながらも初陣を2着で終えた。
1600m→1800mへの距離延長で一変。上がり32.9秒という世代最上位クラスの末脚で圧勝し初勝利を飾った。距離が延びたことでじっくりとギアを溜める時間が生まれ、この馬本来の「波に乗った後の爆発力」が遺憾なく発揮された一戦。この内容がG2・G3路線での高評価につながっていく。
重賞初挑戦で1番人気に支持されるも、またも出遅れというアクシデントに見舞われた。1600mという距離も若干短かったか、出遅れのロスを取り戻せず3着。しかし「出遅れても3着以内に収まる」という底力と、この後の距離延長路線に向けての一歩を踏み出した意味のある一戦でもあった。
5番人気という低評価を覆し、上がり32.7秒のレース最速末脚を繰り出して2着。勝ち馬にはクビ差及ばなかったが、「このレースで最も速い脚を使ったのはゾロアストロ」という事実は重い。距離1800mへの適性と「波に乗った後の爆発力」が証明された内容で、このレースがきさらぎ賞での1番人気につながった。
雪の影響で通常の月曜から水曜に順延された特殊な開催。関東馬ゾロアストロは栗東への遠征に加え、この変則日程という二重の不利を抱えた。さらに右回りコースは初挑戦。それでも中団のインで脚を溜め、直線で馬場の真ん中を通ってゴール前の4頭大激戦をアタマ差制した。ハマーハンセン騎手の「内から使った魔法のステッキ」と表現されたエスコートも見事だった。
💬 T.ハマーハンセン騎手コメント(きさらぎ賞後)
「スタートは速い感じではなく、ゆったりしたスタートでしたが、リズム良く走れました。追い出して、エンジンのかかりや、ギアの切り替わりはシャープではなかったですが、波に乗るととてもいい脚を使ってくれました。距離は延びても大丈夫だと思います。2400mもこなせると思います」
「2400mもこなせると思います」──このハマーハンセン騎手の言葉は、ダービーを視野に入れたコメントとして競馬ファンの間で大きな話題になった。モーリス産駒としては距離延長への適性を示す発言であり、皐月賞(2000m)→日本ダービー(2400m)というクラシック二冠への道筋が鮮明に見えた瞬間だった。
🧬 血統解説 ── 三冠馬の父×ディープ母系×欧州名血が生む「万能型スタミナ馬」
血統構成
近親:ヘルヴェティオス、アルミレーナの2024(妹)|産地:ノーザンファーム(安平町)
父モーリス ── 海外G1制覇のスーパーマイラーが種牡馬に
父モーリスは安田記念・天皇賞秋・マイルチャンピオンシップ・香港マイルなど国内外でG1を6勝した稀代のスーパーマイラー。種牡馬としてはピクシーナイト(スプリンターズS)、プログノーシス(金鯱賞2連覇)など多彩な産駒を輩出。モーリス産駒には「じわじわとギアが入り、波に乗ると大きなストライドで走る持続力型」という特徴が出やすく、ゾロアストロのレーススタイルはまさにその典型だ。
母アルミレーナ ── ディープ×欧州名血が生む奥行きのある血統
母アルミレーナはディープインパクト産駒で、母母ナイトマジックはドイツオークス馬という欧州の名血を持つ。この欧州血統からくる「スタミナと根性」がモーリスのスピードと融合することで、ゾロアストロは「短距離から中距離まで対応できるスタミナ型」という希少な適性を持つ馬に仕上がっている。ハマーハンセン騎手が「2400mもこなせる」と断言したのは、この母系のスタミナへの確信があったからだろう。
父モーリスの「マイル〜中距離の持続力」と母系ディープインパクト×ドイツ欧州血統の「スタミナ」が融合。東スポ杯2歳S(1800m)で上がり32.7秒、きさらぎ賞(1800m)でも好パフォーマンスと、現時点では1800mがベスト。皐月賞(2000m)は問題なし、日本ダービー(2400m)もハマーハンセン騎手のコメント通り十分こなせる適性がある。
🌸 皐月賞への展望 ── 「ギアが入った後の爆発力」が中山急坂で炸裂するか
きさらぎ賞制覇から約2週間後の2月28日、サンデーサラブレッドクラブが皐月賞(4月19日・中山・芝2000m)への直行を正式発表。現在はノーザンファーム天栄(福島県)で調整中だ。
皐月賞(中山・芝2000m・右回り)への適性という観点では、きさらぎ賞で「右回り初挑戦を克服した」という事実は大きなプラスだ。ロブチェンが同じ中山2000mのホープフルSを制したコース経験を持つ一方、ゾロアストロには「右回りをこなせると証明した」という直近のデータがある。
最大の焦点は「ギアの入りの遅さ」が中山の急坂コースでどう影響するかだ。中山は最後の直線が310mと短く、東京(525m)や京都に比べてギアを入れる時間が短い。「波に乗るまで時間がかかる」という特性の馬にとって、この短い直線は理想的とは言えない。しかし、きさらぎ賞でコーナーから徐々にポジションを上げる競馬で勝ち切ったように、直線だけに依存しない「コーナーワーク」でカバーできる可能性は十分ある。
出遅れ癖については陣営も認識しており「ゲートの出に注意」が課題として残る。新馬・サウジRCでの出遅れがあった一方、未勝利・東スポ杯・きさらぎ賞では大きなアクシデントなく競馬できている。この点の改善が続けば、皐月賞での上位争いは十分現実的だ。
①「ギアが入るまでの時間」が中山の短い直線(310m)でカバーできるか──コーナーワークで補完する競馬が鍵。②出遅れ癖の最終的な克服状況。③5戦連続掲示板確保という圧倒的な安定感が本番でも発揮されるか。④ハマーハンセン騎手が引き続き騎乗するか──きさらぎ賞のコンビが継続なら心強い。⑤「2400mもこなせる」とのコメント通りならダービーへの期待値も最大級。
皐月賞評価:◯ 有力候補 ダービー評価:◎ 本命級の適性
5戦全て掲示板確保という圧倒的な安定感と、きさらぎ賞での右回り克服は大きな前進。ただし中山の短い直線という条件は「ギアの入りが遅い」この馬にとって最大の試練でもある。コーナーワークでカバーできれば皐月賞での上位争いは十分可能だ。
最大の武器:「波に乗ったあとの大ストライド」× 5戦無着外の安定感
東スポ杯の上がり32.7秒、未勝利の32.9秒と、一度ギアが入ると世代最速クラスの末脚を繰り出せる。5戦1度も掲示板を外していないという鉄壁の安定感も、クラシックというプレッシャーの大きなレースで際立つ強みだ。
「2400mもこなせる」── 真の主役はダービー
ハマーハンセン騎手の「2400mもこなせる」という言葉は、この馬の本当のベストパフォーマンスが日本ダービー(東京・芝2400m)で出る可能性を示している。長い直線で「波に乗る」時間が確保され、欧州母系のスタミナが発揮されれば──皐月賞は「ダービーへのステップ」になるかもしれない。
「炎を崇める宗教の創始者」という名の芦毛の牡馬。出遅れという試練、雪順延という試練、右回り初挑戦という試練。5戦でいくつもの逆境を乗り越え、それでも一度も掲示板を外したことがない。ゆっくりギアが入り、波に乗った時に大きなストライドで走るこの馬の真価は、クラシックという最大の舞台でこそ輝く。
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