マイルG1王が1200mに挑む── パンジャタワー高松宮記念完全解剖
「パンジャタワー」──冠名「パンジャ」に父タワーオブロンドンの名を冠したこの鹿毛牡馬は、2025年のNHKマイルCを9番人気・単勝26.1倍という低評価から差し切り、3連単150万超の大波乱を演出した。スタートで接触の不利を受けながらも差し切ったその勝利は、父タワーオブロンドンにとっても初めてのG1制覇となった歴史的な一戦だった。橋口慎介調教師が「この馬のストロングポイントは、どの馬にも負けないスピードです。将来はスプリンターにしようと思っていた」と語っていた通り、今や「見るからにスプリンターの体つき」に成長したこの馬が、3/29の高松宮記念で1200mという本来の適性距離に挑む。
⚡ 9番人気・3連単150万超の大波乱 ── NHKマイルC制覇の全貌
2025年5月11日、東京11R・第30回NHKマイルカップ(芝1600m)。18頭立てで9番人気(単勝26.1倍)という低評価のパンジャタワーは、スタート直後に接触の不利(S接触)を受けながらも中団10番手に収まり、超ハイペース(前半4ハロン44.6秒)を利した。直線で外に持ち出されると残り300mで先頭に立ち、最速上がりで迫るマジックサンズをアタマ差抑えてゴール。1・2・3着が9番人気・3番人気・12番人気という大波乱で、3連単は150万5,950円という高配当となった。
「もう最高です。デビューした時から凄く力のある馬だなと思っていて、東京で重賞勝ちもしていますし、最後に脚を使える馬なので、そういった競馬を今日も心掛けましたが、しっかり伸びてくれました。まだまだ馬は成長できると思いますし、本当にこれからが楽しみです。(4年ぶりのJRA・G1制覇に)久々にGIを勝たせていただきましたが、また勝てるようにしっかり頑張っていきたいと思います」
「ゴールの瞬間は正直負けたかなと思いました。今は信じられない気持ちです。デビュー前から素質を見込んでいた馬で、前走後は出来る限り距離を延ばせるようにしてきました。この馬のストロングポイントは、どの馬にも負けないスピードです。筋肉質の体で、将来はスプリンターにしようと思っていましたが、今日マイル戦を勝ち、時計も速かったので、今後についてはオーナーと相談します」
📏 「マイルG1王」が1200mへ ── 距離短縮という本来の姿への回帰
「成長したことでより適性が出てきたというか、今はもう見るからにスプリンターの体つき。キーンランドCを勝った時よりもさらに馬は良くなっていますし、この距離ならG1でも見劣りはしないと思いますよ」
調教師が「将来はスプリンターにしようと思っていた」と語り、実際に1200mで新馬・G3・G2を全て勝ってきたこの馬が、マイルG1を制覇したことで証明したのは「1200mの馬が1600mも走れる」という事実だ。距離短縮となる高松宮記念は、その逆方向──「本来最も力を発揮できる距離」への回帰となる。
📋 全戦績
| 日付 | 開催 | レース名 | 距離 | 着 | 人気 | タイム | 指数 | 上がり | 騎手 | 馬体重 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2024/09/08 | 中京 | 2歳新馬 | 芝1200 | 1着 | 1人 | 1:09.7 | 79 | 34.2 | 松山弘平 | 468 | 出脚鈍 |
| 2024/11/02 | 東京 | 京王杯2歳S(G2) | 芝1400稍 | 1着 | 8人 | 1:21.2 | 96 | 33.8★ | 松山弘平 | 480 | |
| 2024/12/15 | 京都 | 朝日フューチュリティ(G1) | 芝1600 | 12着 | 4人 | 1:35.8 | 77 | 35.0 | 松山弘平 | 486 | |
| 2025/03/22 | 中京 | 中スポ賞ファルコンS(G3) | 芝1400 | 4着 | 1人 | 1:21.1 | 92 | 34.6 | 藤岡佑介 | 484 | |
| 2025/05/11 | 東京 | NHKマイルC(G1)★ | 芝1600 | 1着 | 9人 | 1:31.7 | 107 | 34.2 | 松山弘平 | 480 | S接触・9人気 3連単150万 |
| 2025/08/24 | 札幌 | キーンランドC(G3) | 芝1200 | 1着 | 2人 | 1:08.2 | 101 | 33.9 | 松山弘平 | 488 | 出遅れ |
| 2025/10/31 | ランドウィック | ゴールデンイーグル(G1) | 芝1500重 | 5着 | — | — | — | — | 松山弘平 | — | 🌏豪州海外 |
| 2026/02/15 | キングアブドゥル | 1351ターフスプリント(G2) | 芝1351 | 5着 | 2人 | — | — | — | J.モレイラ | — | 🌏サウジ海外 |
★はG1制覇レース。🌏は海外遠征(指数・上がりはJRA計測外)
🧬 血統解説 ── タワーオブロンドン×ヴィクトワールピサという「スプリント+中距離」配合
血統構成
パンジャタワーのNHKマイルC制覇は、父タワーオブロンドンにとって産駒初のG1勝利でもあった。タワーオブロンドン自身はスプリンターズS(G1)を制したスプリンターだが、産駒初のG1をマイル戦で飾ったことは興味深い。スプリント特化の父とスタミナのある中距離系の母(母父ヴィクトワールピサ)の配合が、1200mから1600mまで対応できる「幅」を生んでいる。
🏟 高松宮記念展望 ── 本来の適性距離で2つ目のG1へ
②橋口師「今はもう見るからにスプリンターの体つき」という成長。
③キーンランドCでは出遅れながら1着──不利を克服できる底力。
④「1200mの方がより力を発揮できるタイプ」という距離適性の後押し。
⑤帰国初戦で1週前追い切り良好・松山騎手「よく動けていました」。
②朝日フューチュリティ12着・ファルコンS4着と「負ける時は大きく負ける」不安定なパターン。
③高松宮記念は相手がナムラクレア・サトノレーヴ・ウインカーネリアンなどの歴戦古馬。
④4歳という若い年齢でベテラン勢と互角以上に戦えるか。
高松宮記念評価:◯ 適性距離への回帰で大仕事の可能性あり
橋口師の「条件的にピッタリ」という言葉と、1200mの無敗実績は本物だ。9番人気でNHKマイルCを制した実績は「このクラスでも上位で戦える能力」の証明であり、より得意な1200mに戻ることでさらなるパフォーマンスが期待できる。状態も良好とあれば、「穴として狙える」存在だ。
最大の注目点:「スプリンターの体つき」になった4歳馬の脚」
調教師が「キーンランドCを勝った時よりもさらに馬は良くなっている」と語る現状の充実ぶりは、単なる臨戦過程の有利不利を超えた話だ。9番人気でG1を制した馬が、本来の適性距離・成長した状態で挑む。過去にNHKマイルCを制した4歳馬が高松宮記念で激走した例もある。
「将来はスプリンターに」という橋口師の先見と、現在の姿
デビュー前から「将来はスプリンターにしようと思っていた」という調教師の言葉が、2年を経て「今はもう見るからにスプリンターの体つき」という現実になった。その姿が初めて1200mのG1舞台に立つとき──9番人気のNHKマイルCが「序章」だったとしたら、高松宮記念は「本番」かもしれない。

