重賞4連続2着の「惜敗の記録」と屈腱炎を越えた復活|ドゥラドーレス-金鯱賞でタイトル掴めるか
「ドゥラドーレス」──スペイン語で「黄金色に輝く人々」を意味するその名は、右前脚の屈腱炎という過酷な試練を乗り越え、今まさに輝こうとしている牡馬の物語にふさわしい。半妹には有馬記念馬レガレイラを持つ超良血。菊花賞4着という実績。そして復活後に重賞4連続2着という「惜敗の記録」──。宮田敬介調教師が「大きい舞台を目指して何とかタイトルを取らせてあげたい」と語った7歳牡馬が、金鯱賞で悲願の重賞初制覇を狙う。
🦴 屈腱炎からの復活劇 ── 1年以上の空白を越えて
2023年6月の江の島S(東京・芝2000m)で3勝クラスを突破し、いよいよオープン路線へ。誰もがドゥラドーレスの「本格化」を期待した。しかしその直後、右前脚に屈腱炎を発症。競走馬にとって最も深刻な怪我の一つとして知られるこの故障は、長期休養を余儀なくされた。
「屈腱炎での長期休養明けを1度使ってから、放牧を挟んで立て直して臨んだ一戦でした。元々すごく期待していた馬ですし、オープンの舞台で復活できたことを嬉しく思いました」
🥈 重賞4連続2着 ── 「あと一歩」を繰り返すジレンマ
小倉日経賞復活Vからの連勝を期待されたエプソムC以降、ドゥラドーレスは重賞4戦連続で2着に終わるという異例の記録を作り続けている。毎回確かな末脚を見せ、毎回僅差で届かない──この「惜敗の記録」の中に、この馬の真の実力が潜んでいる。
1番人気(単勝3.7倍)に推されルメール騎手とのコンビで臨んだ初の重賞出走。スタートで若干つまずき後方からのレースになったが、直線で馬群を割ってメンバー最速の上がり34.1秒を繰り出した。しかしセイウンハーデスがコースレコードで逃げ切り1馬身3/4届かず。
「スタートが遅く後ろからになったが、こういう馬場でもずっといい感じで、直線もだんだん加速してくれました。良い脚を使ってくれましたが、レコードタイムでしたし、勝った馬が強かったです」
「チャンスがあるなと思っていたので、勝てなかったのは残念でした。届かなかったのは残念ですが、今後につながる内容だったと思います」
エプソムCから中1ヶ月での七夕賞は、再び1番人気(単勝3.0倍)に支持された。今度は戸崎圭太騎手とのコンビ。7-7-5-4という追走から上がり35.4秒で伸びたが、コスモフリーゲンに及ばず2着。重賞2連続2着という記録が続いた。
2番人気に推され、半妹レガレイラとの「兄妹対決」が注目を集めた。中盤のペースダウンをとらえて4コーナーで3番手まで押し上げ、直線でも懸命に脚を伸ばした。しかし「外から妹の姿が…」。決め手の差は歴然で1馬身半差をつけられての2着。
「スタートは良かったです。勝った馬がレガレイラでしたから」
2026年初戦のアメリカンジョッキーCは1番人気(単勝3.0倍)。ルメール騎手とのG2初挑戦だったが、12-12-9-8という後方からのレースで上がり34.5秒を使うも、ショウヘイに届かず4連続2着。重賞4連続2着という「惜敗の記録」が確定した。しかしタイム指数102という数字は、G2でも十分通用する水準を示している。
📋 全戦績 ── 13戦のキャリアを読む
| 日付 | 競馬場 | レース名 | 距離 | 着順 | 人気 | タイム | 上がり3F | 騎手 | 馬体重 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2021/11/07 | 東京 | 2歳新馬 | 芝1800m良 | 3着 | 1人気 | 1:49.9 | 33.4 | 丸山元気 | 480kg | ⚠出遅れ |
| 2022/01/30 | 東京 | セントポーリア賞(1勝C) | 芝1800m曇 | 1着 | 1人気 | 1:45.7 | 35.0 | 戸崎圭太 | 492kg(+12) | ⚠出遅れ |
| 2022/03/26 | 阪神 | 毎日杯(G3) | 芝1800m小雨 | 4着 | 1人気 | 1:47.7 | 35.2 | 戸崎圭太 | 492kg(0) | ⚠出遅れ |
| 2022/06/05 | 東京 | ホンコンJCT(2勝C) | 芝2000m良 | 3着 | 3人気 | 2:01.5 | 33.0 | 福永祐一 | 498kg(+6) | ⚠出遅れ |
| 2022/08/14 | 札幌 | 藻岩山特別(2勝C) | 芝2000m稍 | 1着 | 1人気 | 2:02.4 | 35.1 | 横山武史 | 494kg(-4) | 8-8-7-7 |
| 2022/10/23 | 阪神 | 菊花賞(G1) | 芝3000m晴 | 4着 | 3人気 | 3:04.3 | 37.2 | 横山武史 | 490kg(-4) | 12-12-10-9 ⚠出遅れ |
| 2023/06/24 | 東京 | 江の島S(3勝C) | 芝2000m良 | 1着 | 1人気 | 2:00.1 | 33.1 | 丸山元気 | 502kg(+12) | 8-7-9-11 |
| 2024/10/13 | 東京 | オクトーバーS(L) | 芝2000m良 | 11着 | 2人気 | 1:59.8 | 35.9 | 丸山元気 | 502kg(0) | ⚠出遅れ ★屈腱炎明け |
| 2025/02/09 | 小倉 | 小倉日経賞(OP) | 芝2000m稍 | 1着 | 2人気 | 2:01.5 | 35.1 | 杉原誠人 | 502kg(0) | 6-6-6-5 |
| 2025/05/10 | 東京 | エプソムC(G3) | 芝1800m稍 | 2着 | 1人気 | 1:44.2 | 34.1★ | C.ルメール | 502kg(0) | ⚠出遅れ 16-15-14 |
| 2025/07/13 | 福島 | 七夕賞(G3) | 芝2000m良 | 2着 | 1人気 | 2:00.5 | 35.4 | 戸崎圭太 | 500kg(-2) | 7-7-5-4 |
| 2025/09/21 | 中山 | 産経オールカマー(G2) | 芝2200m曇 | 2着 | 2人気 | 2:10.4 | 34.4 | C.ルメール | 498kg(-2) | 9-9-9-3-3 |
| 2026/01/25 | 中山 | アメリカンジョッキーC(G2) | 芝2200m良 | 2着 | 1人気 | 2:11.1 | 34.5 | C.ルメール | 504kg(+6) | 12-12-9-8 |
※ 緑背景行が重賞4連続2着の記録。★は当該レースでの上がり最速
🧬 血統解説 ── ドゥラメンテ×ハービンジャーが生んだ「中距離の大器」
血統構成
2022年の菊花賞。アスクビクターモアが制したあの一戦で、ドゥラドーレスは3番人気に推されて12-12-10-9という後方追走からの4着でフィニッシュしている。出遅れがなければ──という惜しさが残るレースだったが、そのメンバーの中で4着に入れたことは、この馬の素質の高さを示す「隠れた実績」だ。タイム指数104は、現在の重賞路線でも通用する水準を示している。
🏟 金鯱賞での初制覇挑戦 ── 中距離2000mでついに「2着」を脱却できるか
「今後は大きい舞台を目指して何とかタイトルを取らせてあげたいですね」
金鯱賞評価:◯ 力は十分・出遅れさえなければ重賞初Vの器
重賞4連続2着という数字は、この馬が「G2〜G3を勝てる実力を持ちながら、毎回何かが足りない」ことを示している。その「何か」は多くの場合スタートだ。出遅れなく中団から競馬ができれば、上がり最速の末脚は本物であり、初の重賞制覇は十分に狙える。
最大の注目点:「出遅れ癖の克服」
デビュー戦から続く出遅れ癖。これが解消されたとき、ドゥラドーレスの「重賞4連続2着」という記録は一気に更新される可能性がある。宮田調教師が「今後につながる内容」と繰り返す言葉は、その確信の表れだ。
7歳での挑戦:屈腱炎という試練を越えた馬の「遅咲きの一勝」を待つ
右前脚の屈腱炎という最も過酷な試練を乗り越え、重賞4連続2着という記録を作った7歳牡馬。半妹レガレイラのG1制覇という「血統の証明」は出ている。あとはドゥラドーレス自身が重賞タイトルを掴む番だ。
屈腱炎を乗り越え、妹レガレイラの影を見ながら、それでも重賞4連続2着という底力を示し続けたドゥラドーレス。「黄金色に輝く人々」という名の意味を、7歳になった今、金鯱賞で初めて証明するとき──宮田敬介調教師が「何とかタイトルを取らせてあげたい」という言葉の重みが、この一戦に集約されている。

