【クレパスキュラー特集2026】血統・全戦績・スプリングS展望を徹底解説|新馬レコード更新の無敗馬がルメール継続でG2初挑戦
「薄明かりの」を意味するラテン語「Crepuscular」を名に持つこの黒鹿毛牡馬は、デビューから2戦、まさに「まだ夜明け前」の原石のままスプリングS(G2)の舞台に立つ。父はシーザリオの仔リオンディーズ、母の父はディープインパクト──競馬界最高峰の血が交差した配合が、2戦2勝・無敗・新馬レコード更新という異次元の走りを見せた。ルメール騎手が「すごく掛かる。口が利かない」と苦笑いし、栗田師が「我を失うところがある」と眉をひそめながら──それでも2戦とも圧倒する「暴走する怪力」の正体とは何か。
⚡ 新馬戦 ── 札幌芝1800m 2歳レコードを0.6秒更新した「衝撃デビュー」
2025年8月3日、札幌競馬場。7頭立ての少頭数ながら2番人気(4.0倍)でデビューしたクレパスキュラーは、キング騎手を背に3-3-1-1という積極的な先行策から直線で突き放し、5馬身差の圧勝を披露。タイムは1分47秒2で、従来の札幌芝1800m 2歳レコードを0.6秒も更新するという衝撃的なデビュー戦だった。上がり35.2秒で逃げ切り切った内容は、「パワーで走る」タイプの片鱗を示す一戦だった。
🔥 ひいらぎ賞 ── 「掛かりながら伸びた」2馬身半差の異次元パフォーマンス
4カ月ぶりの実戦でルメール騎手に乗替わり。最内1枠を生かして中団内めを追走したが、道中は掛かり気味。3コーナーで3番手まで位置を上げると、直線では外を選択して先に抜け出したリゾートアイランドを一気に差し切った。2馬身半差の完勝。ゴール後も検量室に戻ることができず、馬場内のポケットに留まって引き手を待つという場面も──それでも上がり34.2秒最速タイという末脚の数字が残った。
🧬 血統解説 ── リオンディーズ×ディープインパクトが生んだ「最強配合」
血統構成
産地:ノーザンファーム(安平町)|馬名の意味:ラテン語で「薄明かりの・夜明け前後に活動する」
父リオンディーズ ── 朝日杯FS馬・シーザリオの仔が持つ「怪力のルーツ」
父リオンディーズはキングカメハメハ×シーザリオという黄金配合から生まれた朝日杯FS馬で、半兄にはエピファネイア(菊花賞・ジャパンC)を持つ名門血統だ。母シーザリオはオークス馬で、父系にキングカメハメハの「パワー」と母系にSpecial Weekの「スタミナ」を持つ配合は、クレパスキュラーが見せる「怪力で押し切る」走りのルーツといえる。リオンディーズ産駒としては最高水準の活躍が期待できる1頭だ。
母父ディープインパクト ── 父のパワー×母父の切れ味という「夢の配合」
母エリスライトは母父ディープインパクトを持ち、近親にはトライゴーニック(重賞馬)がいる。リオンディーズのパワーにディープインパクトの切れ味が加わった配合は、理論上「スタートの良さ×末脚の鋭さ×スタミナ」という三拍子揃った中距離馬を生みやすい。「引っかかっても伸びる」末脚の質は、母父ディープインパクトが持つ切れ味の遺伝の表れかもしれない。
新馬戦(芝1800m)でレコードを出した事実から、距離適性は1600〜2000mにある。ひいらぎ賞(1600m)でも圧勝したが「掛かりやすい」気性を考えると、折り合いが利きやすい1800m以上がベストの可能性もある。スプリングS(中山芝1800m)は新馬戦と同距離であり、「本来の適性距離に戻る」という意味で最高の舞台設定だ。
🌸 スプリングS展望 ── 3/15、折り合いの答えが出る試金石の一戦
ひいらぎ賞後にスプリングSへの出走が発表され、ルメール騎手の継続騎乗も確定。「次も落ち着くかわからない」というルメールの懸念を抱えながら、2戦連続レコード水準のパフォーマンスを見せてきた馬が初の重賞舞台に挑む。
過去のスプリングS勝者にはオルフェーヴル(三冠馬)の名も刻まれており、「荒削りながら底知れぬ能力」という点では共通点もある。折り合いが改善されれば、ひいらぎ賞を超えるパフォーマンスが出る可能性は十分にある。
注目ポイント:①折り合い問題は解消されているか(パドックから確認必須)。②1800mへの距離延長でペースが落ち着き、かえって折り合いがつきやすい可能性。③「引っかかっても伸びる」末脚がG2水準の相手に通用するか。④2戦連続圧勝の末脚が重賞でも通用するかどうか。
スプリングS評価:△〜◎(折り合い次第で大爆発) 皐月賞評価:折り合いさえつけばG1でも通用するポテンシャル
「課題が多い。ポテンシャルは高い」という栗田師の言葉が、この馬の全てを語っている。2戦2勝・無敗・新馬レコード更新──これらが「掛かりながら」叩き出されたものだという事実は、折り合いがついた日のクレパスキュラーの真の実力が、まだ誰にも見えていないことを意味する。
最大の武器:「引っかかっても伸びる」── 逆説的な末脚の強さ
通常、馬が道中で掛かるとスタミナを消耗して直線で伸びなくなる。しかしクレパスキュラーは「引っかかって、息が入るところがあったとはいえ、そこからまた伸びています」(ルメール)── このルメールの言葉が示す「掛かっても伸びる異常なパワー」こそが、この馬の最大にして最深の武器だ。
最大のロマン:「まだ底を見せていない」── 薄明かりの先に何があるか
「薄明かり(Crepuscular)」の名の通り、クレパスキュラーはまだ夜明け前にいる。2戦のパフォーマンスがまだ「本気を出していない状態」だとしたら、折り合いがついた日に何が起きるか──スプリングSの中山芝1800m、全ての制御が解けた瞬間、夜明けの光が炸裂する。
「薄明かりの」という名を持つ黒鹿毛は、まだ本当の夜明けを迎えていない。2戦2勝・無敗・新馬レコードという輝かしい実績の裏に、「我を失う」気性の荒さという闇がある。スプリングS・中山芝1800m──ルメールがその怪力を初めて完全に制御できた瞬間、クレパスキュラーは薄明かりの彼方に、本物の夜明けを見せるかもしれない。

